最高裁判所第二小法廷 昭和43年(秩ち)2号 決定 1968年5月01日
抗告人
有村寛治
右代理人
小堀清直
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件特別抗告の趣意は、別紙書面記載のとおりである。
所論は、憲法三二条違反を主張するが、法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し、抗告を申し立てるには、申立書に抗告の理由を記載するほか、少なくとも申立人の氏名をも記載することを要するものと解すべきであるから、氏名を記載することができない合理的な理由がないのに、抗告人を氏名不詳者と表示してその氏名を記載していない申立書によつてした本件抗告を不適法として棄却した原決定に違法はなく、この点の違法を前提とする違憲の論旨はその前提を欠くものといわなければならない。そうすると、論旨は、法廷等の秩序維持に関する法律六条一項所定の抗告の理由にあたらないから、法廷等の秩序維持に関する規則一九条、一八条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)